2011年2月22日火曜日

【プロが教える職場の法令順守】(03) 友人でも公務員との飲食は贈賄罪に!?

賄賂というと、公務員に何か「不正な依頼」をしてそれを実現してもらい、見返りとして金品を渡すことだと思われているようです。でも、不正な依頼(請託)はもちろん、何のお願いや依頼をしなくても、その公務員の職務に関して金品を提供するだけで、贈賄罪となります。

「職務に関して」とは、その公務員が具体的に担当する事務である必要はありません。職務行為自体でなくとも、職務に密接な関係を持つ行為も含む、とされています。例えば、その公務員があなたの会社の営業について許認可権を持つなどの直接的権限がなくても、それについて多少でも影響力を与える権限があれば、「職務に関して」と認定されることが多いのです。

また、賄賂というとお金ばかりを思い浮かべますが、人の需要・欲望を満たすものであれば、一切の利益がこれに当たります。飲食の提供、就職の斡旋、あるいは部屋のベッドに女性を送り込むのも賄賂ですし、リクルート事件では、未公開株式の譲渡も値上がりが確実だったとして、賄賂に当たるとされました。

サラリーマンが注意してほしいのは、飲食の提供です。公務員と飲食した際、相手が学校の同窓だったり、同郷だったりすると、サラリーマンはつい相手分の代金も支払ってしまいがちです。しかし、相手が公務員なら要注意。相手が職務に関係のある部署にいると、賄賂と認定されてしまう恐れがあります。

中元・歳暮などの社会的儀礼の範囲であれば、金品を提供しても賄賂にはならないといわれますが、友人間で中元などとしてよくやり慣れている数千円程度の贈り物でも、職務に関して授受された場合には賄賂と判断されます。中元・歳暮でも、公務員に贈るのは避けた方が無難です。 (小林総合法律事務所代表=小林英明)


~日刊ゲンダイ 2011年1月22日付掲載~