2011年2月27日日曜日

【プロが教える職場の法令順守】(07) 「不正を認めなければ処分なし」は通用せず

今回はやや視点を変えてみましょう。テーマは「やってはいけないことをやってしまったとき、どうするべきか」です。方法は「自分がやったことを正直に話す」か、「最後まで嘘をつき通し、自分がやったと認めない」のどちらかです。

不正の証拠を会社側に握られているなら、「自分のやったことを正直に話す」が得策です。「たとえ不正行為をやっても、自らそれを認めなければ処分されない」と考えるのは大きな間違い。さまざまな証拠をもとに、不正行為の存在が認定されれば、処分されてしまいます。しかも、最後まで嘘をつき通し、自分のやったことを認めなかったのは、反省の色が全く見られないということ。処分はより重くなります。

大相撲の野球賭博疑惑を思い出してください。日本相撲協会に十分な調査能力がなく、処分されたのは自ら不正を認めた力士のみ。否定し続けた力士は、何ら処分されませんでした。今回の大相撲八百長疑惑も、似た雲行きになりそうな気配です。

八百長相撲をやったと自ら認めたものが重く処分される一方、メールという動かぬ証拠があり、重要な証拠である携帯電話を壊したりしながら八百長への関与を否定し続けた者は、認めた者より軽い処分で済むのではないか……。このような「正直者がバカを見る」は、組織では絶対にやってはいけないことです。まかり通ってしまうと、今後は誰も正直に自分の不正を認めなくなってしまうからです。サラリーマンの皆さんも八百長疑惑事件を見て、「不正行為をやっても、自ら認めなければどうにかなる」などと思わないよう、くれぐれもご注意ください。 (小林総合法律事務所代表=小林英明)


~日刊ゲンダイ 2011年2月26日付掲載~