2011年2月22日火曜日

【プロが教える職場の法令順守】(04) 親睦会に参加しただけで談合に?

国や自治体が発注する工事は、競争入札で受注業者が決められます。競争入札なら、最も安い価格を申し出た企業に工事を発注でき、国や自治体が払う代金が安く済むし、税金もムダ遣いせずに済みます。

しかし、受注する企業にすれば、安く受注=儲けが少ないことを意味します。営利目的の企業なら、面白いはずがありません。そこで、入札前に入札者間で落札者(チャンピオン)をあらかじめ決め、その企業が落札できるよう入札額を事前に打ち合わせをする。これが「談合」です。入札企業が入札額を示し合わせれば、チャンピオンが工事を受注、多額の儲けを出すことができます。そしてチャンピオンを順番にやることにすれば、各企業とも利益を出すことができます。

サラリーマンに注意してほしいのは、談合というと、入札企業が一堂に会し、談合の綿密な話し合いが長時間行われると思っている人が多いこと。ところが、実際の談合は、思いがけない形で行われているのです。

例えば、「業界の新年会に参加したら、次の案件はウチに取らせてくれと言われ、うなずいてしまった」「電話で、ウチは入札を降りるから、その代わり下請けに入らせてくれと言われた」などです。このような気軽な会話が談合と認定され、犯罪とされてしまいます。実際、談合に参加しなくても、談合の疑いをかけられて、捜査の対象とされてしまうこともあります。

単なる業界の親睦会に参加したつもりでも、その場で他企業の人々の間で談合の話し合いがなされれば、たとえその会話に参加していなくても、捜査機関には「立派な談合の一員」と映ってしまうのです。談合がよく行われる親睦会などに参加すること自体、リスクがあります。注意してください。 (小林総合法律事務所代表=小林英明)


~日刊ゲンダイ 2011年1月29日付掲載~